過疎地が過疎地である理由
離島の郵便局の職員が失踪し、郵便局が営業出来なくなる問題が発生しているというニュースが流れた。
島の郵便局ピンチ、職員戻らず 唯一の金融機関 鹿児島
2017年11月10日03時35分
鹿児島県三島村の竹島にある簡易郵便局が、職員がいなくなったために休業し、13日から当面は週2日しか営業できない状況になっていることが、村などへの取材でわかった。島内で唯一の金融機関のため、住民の生活に支障が出そうだ。
村総務課によると、この竹島簡易郵便局は、もともとは鹿児島中央郵便局の分室だったが、7月に日本郵便から業務委託された簡易郵便局になった。それに伴って日本郵便の職員ではなく、県外出身者の男性(31)が村の嘱託職員として窓口業務を担うことになった。
ところが、職員が10月27日に休暇を取って県外に出たまま戻らず、連絡が取れなくなっているという。
村は郵便局を今月6日から10日まで休業。代わりの嘱託職員を村内の黒島から派遣し、13日から12月中旬までは月、火曜日だけの営業とする。一方で新しい嘱託職員を募集中だ。
竹島の人口は約80人。金融機…
残り:165文字/全文:532文字
(引用元:朝日新聞)
問題が起きているのは、鹿児島県三島村の竹島という離島。
竹島と言うと島根県の竹島をイメージする人が多いだろうが、その竹島とは違う。
九州本土の南方の地域から奄美大島の南側までの地域が鹿児島県なのだが、その中で、三島村というのは九州本土と奄美大島の間にある離島群を一つの地方自治体にした物だ。
竹島、硫黄島(鬼界ヶ島)、黒島という有人島と新硫黄島、デン島という無人島によって構成されている。
そのため、村役場が有人島に出張所はあるものの、本局は鹿児島市に設置されている。
こうした、自治体の区域外にその自治体の役場が置かれるケースは他にも有るが、日本全国規模で探してみても極めて少ない。
鹿児島県三島村竹島へは、鹿児島港発の定期船でしか渡ることが出来ない。
この定期船には三種類の運航方法が有る。
- 午前9時半に鹿児島港を出港し三島村の有人島を廻って鹿児島港にその日の19時50分に戻って来る周回便。
- その日の午前9時半に鹿児島港を出港し、三島村の有人島を廻り、黒島の港に入港する往路便。
- 黒島の港を午前8時に出港し三島村の有人島を廻って14時5分に鹿児島港に入港する復路便。
この三種類の運航方法を一隻の船で運用している。つまり日によって「周回便の日」、「往路便の日」、「復路便の日」が有る。
鹿児島から三島村竹島へ行く便も三島村竹島から鹿児島へ行く便も、週に3~4回程しかない。つまり「今日は仕事が休みだから本土へ行こう」と軽々と本土へ外出する事が出来ない。今時の都会に住む人から見れば監獄の様な島だ。
そんな監獄の様な島の郵便局が、今年の7月から「鹿児島中央郵便局竹島分室」から「竹島簡易郵便局」に業務変更となった。
2017年7月10日、竹島の郵便局は「鹿児島中央郵便局の分室」から「簡易郵便局」に。
分室は直営ですが、簡易郵便局は日本郵便から委託された事業所。
分室の時は本土から正職員が赴任してきていました。
簡易郵便局では、役場が業務を受託。
働くのは役場の嘱託職員。
(引用元:お金が預けられない、引き出せない!! 離島の事件簿。|GO!MISHIMA)
それまでは日本郵便直営の郵便局の分室だったために、日本郵便の職員が運営していたものが、簡易郵便局になった事で日本郵便の職員が引き上げる事となり、三島村役場が業務を引き受ける形となり、三島村役場から業務を引き受けた職員が働く形となった。
三島村役場から業務を引き受けて働く事になったのは島根県の郵便局の職員だった人だという。
この三島村役場の嘱託で三島村竹島の簡易郵便局で働く事になった元島根県の郵便局職員が休暇中に実家に帰り、職場に戻って来なかったというのが冒頭のニュース記事の話。
一体何故そんな事になったのか。
togetterでこの件に関するまとめが作成され、その中で三島村竹島の住人の書いたブログが紹介されていた。
リンク先(作成されていたまとめ)は削除されました。
三島村竹島の住人のブログに書かれた内容を踏まえて状況を整理すると。
(三島村竹島側の事情を赤、郵便局の職員側の事情を青、双方の事情から発生している出来事を黒で色分けして記載します。)
- 三島村竹島の住人は全部で40世帯80人程。
- 島には商店等が無いため、生活必需品等は郵便局から通常払い込みや振り込みを行い送ってもらう形となる。
- 島には郵便局以外の金融機関が無く、金融機関が郵便局のみであるため払い込みや振り込みには郵便局を使わざるを得ない。
- そのため、「郵便局の職員=島民全世帯の経済状況を知る事が出来る立場」になる。
- 島民全世帯の経済状況を知る事が出来る立場に、島の外部から来た人がなっていて、島民はその人が(外部から来た人間であるせいで)いまいち信用できない。
- 島民の数が少なく、全員が仲間であり家族の様な密接な関わりを持っている(逆に言えば、互いにプライバシーという物が殆ど無い社会)。
- ⑤・⑥が原因で、郵便局の職員側は島民から24時間監視されている様な感覚を感じていた。
という流れが有り、この事態に発展したという話の模様。
本来3名以上の職員を入れる事が規則とされる簡易郵便局の業務を、この職員は1人で行っていたそうで、郵便局の局員関係の間では、上記のまとめの中に出て来る島民のブログを「偏向記事」と指摘する意見や。
失踪した(実家に帰った)この局員を支持するという意志表明しているブログ等も有る。
そんな中、三島村村役場はハローワークに「竹島簡易郵便局」の新たな職員を募集するための求人をハローワークに出したという情報が入った。
月給19万300円、そこから保険や税金等を引かれると、手取りが月12万。
この条件で島民から24時間監視されている様な環境下で仕事しろと言うのは無理が有るだろう…。
名無しの写真家は、「竹島簡易郵便局の職員失踪問題」に関して、失踪した(実家に帰った)郵便局職員さんを支持します。
名無しの写真家 拝