政府「70歳まで働いて下さい、年金払えませんので」

先日、トヨタが「終身雇用を守るのは難しい」という方針を発表した。

3月末~4月頃には富士通NECが「45歳以上をリストラ対象とする」とする方針を打ち出している。

どれも、それぞれの業界内に於いては大手企業である。大手企業が「終身雇用を守るのは難しい」「45歳以上で出世・昇進の見込みの無い社員はリストラ対象とする」と言い始めており、経団連の現(2019年5月現在)会長の中西宏明も「終身雇用なんてもう守れないと思っている」と発言している。

そんな中で、政府がそれらと真逆の「70歳定年制」の外堀を埋めようとしている…。

この状況を経済破綻と言わずして何と言うのだろうか?

70歳雇用へ企業に努力義務 政府、起業支援など7項目

2019/5/15 20:46

政府は15日、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表した。企業の選択肢として7項目を挙げた。70歳まで定年を延長するだけでなく、他企業への再就職の実現や起業支援も促す。企業は努力義務として取り組まなければならなくなる。

現行の高年齢者雇用安定法は企業に希望者全員の65歳までの雇用を義務付ける。60~64歳までの就業率は2018年に68.8%で、13年と比べて9.9ポイント上昇した。

65歳から70歳まで働けるようになると、60歳代の就業率が上がるとともに経済効果も期待できる。

内閣府の試算によると、65~69歳の就業率が60~64歳と同水準になれば、就業者数は217万人増える。勤労所得は8.2兆円増加し、消費支出には4.1兆円のプラスだ。

政府の調査では65~69歳の高齢者の65%は「仕事をしたい」と感じている。一方で実際にこの年齢層で就業している人の割合は46.6%にとどまる。

政府は改革によって就労を希望する高齢者が意欲的に働ける環境を整える。

18年の15~64歳の「生産年齢人口」は前年比51万2千人減の7545万1千人だ。総人口に占める割合は59.7%で、1950年以来最低となった。

30年後の2049年には約5300万人と足元から3割減る。今回の改革は生産年齢人口の減少を踏まえ、経済や社会保障の担い手を増やすのが狙いだ。

改正案の骨格は15日の未来投資会議に提示した。改正案は20年の通常国会に提出する。

安倍晋三首相は同会議で「元気で意欲のある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえるように法改正をめざす。それぞれの高齢者の特性に応じ多様な選択肢を準備する」と述べた。

企業が取り組む選択肢の7項目のうち、同じ企業内で雇用を継続するのは3つだ。(1)定年延長(2)定年廃止(3)契約社員や嘱託などによる再雇用――だ。

社外でも就労機会を得られるように支援する。(4)他企業への再就職支援(5)フリーランスで働くための資金提供(6)起業支援(7)NPO活動などへの資金提供――だ。

他の企業への就職支援など政府が明示した7項目には実効性が不透明なものもある。

企業は一律に70歳までの雇用を義務付けられると、負担増になるとの懸念がある。政府が努力義務にしたのは、その点に配慮したためだが、将来的には義務化される可能性もある。

政府は雇用制度と併せて年金制度も見直す。公的年金の受給開始年齢を70歳以降でも可能にする。その分、受給額を増やす仕組みだ。高齢者の就労を促す効果を見込む。

(引用元:日本経済新聞

この記事に関してTwitterを見ていると、政府に対する怒りの声が蔓延している。

政府が「70歳定年制」を導入したい理由は

  1. 年金制度がほぼ崩壊している状態であり、今の制度のままで年金を払おうとすると年金制度が破綻するので、年金支給開始年齢を現在の「65歳」から「70歳」に引き上げたい。
  2. 年金支給開始年齢を「70歳」に引き上げ「70歳定年制」を導入する事で、65~69歳までの、"年金等の社会保障を受け取れる層"を"社会保障を支える層"へと切り替えたい。

等だというのは簡単に推察できる。

国会議員は議論をして国の動かし方を決めるのが仕事だ。「椅子に座って議論をするのが仕事なのだから70歳を越えていても務まる」というのが国会議員の考え方なのだろう。「自分達が70歳以上でも働けているのだから、国民も70歳を定年にしても問題ない」と考えているのかも知れない。

こういう稚拙な考えを持った人達が、今の日本を動かしている。

政府の運用の失敗で破綻直前まで来ている年金制度という制度がある。この制度を最終的に破綻させた政権は国民のほぼ全てから恨まれる事は間違いないだろう。

故に、自分が首相でいる間に年金制度に破綻して欲しくない、次の代の首相に引き継がれた後に破綻してくれれば良い、そうやってここ10年近くの首相は既に近い将来破綻する事が決まっている年金制度を「破綻してませんよ、ギリギリですが」と騙し騙し運用しているのだ。

その騙し騙しの年金制度の存続のために「70歳定年制」等という物の土台作りを始めている。

10年後、20年後にはこれが75歳定年、80歳定年になり、定年年齢まで年金の支給開始年齢が引き上げられているかもしれない。

 

今の日本政府に自浄作用は無いのだな…と、このニュースから色々と考えていて思った。

ほぼ全ての国民からの非難を受ける覚悟で「年金制度は破綻しました」と公表出来る人物が首相にならない限り、このまま年金制度は騙し騙し運用されるのだろう…、既に破綻している事が誰の目にも明らかなのに。

 

名無しの写真家 拝名無しの写真家 拝