「高度プロフェッショナル制度」は日本人の自己ブランド力強化政策

NHKの『クローズアップ現代+』については過去にこんな記事を書いた事が有る。 

その『クローズアップ現代+』が、またやらかしたらしい。

2018年5月31日(木)に放送された「働き方改革」をテーマにした回での話だそうだ。

 

最近、高度プロフェッショナル制度(略称:高プロ制度)という物が話題になっている。 

労働基準法の改定を行い、その改定の仲で「高度プロフェッショナル制度」を導入しようという物で、下記の様な規定が存在する。

「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」を行う「年収1075万円」以上の労働者について、下記の規定

  1. 職務の内容が明確に決まっていること
  2. 労使委員会の5分の4以上の多数決議が為されている事(労使委員会とは、経営側とその事業所の労働者側の委員で構成される委員会です)
  3. 行政官庁への届出が為されている事
  4. 本人の同意が得られている事。(同意しなかった場合に、解雇等の不利な扱いをすることは禁止されます。)
  5. 経営者が、その従業員の「在社時間」と「社外で労働した時間」を把握出来る仕組みを構築している事
  6. 1年間で104日以上、4週間で4日以上の休日を付与すること
  7. 休日や労働時間等に関する下記のいずれかの措置を講じること
    a) 勤務間インターバル制度、及び深夜労働の回数の上限
    b) 「健康管理時間」(=「在社時間」+「社外で労働した時間」)の上限
    c) 1年に1回以上、2週間連続の休暇を与えること(有給以外に2週間)
    d) 一定範囲の従業員に対する健康診断の実施
  8. 有給の付与、健康診断の実施等を行っている事

を満たす場合に残業代の支払義務がなくなる

という、解り易く言えば「しっかりと成果を出せる人は、成果を出しさえすれば勤務時間中ずっと会社にいる必要が無くなり数時間で帰宅する事が許可され、それでいて勤務時間中ずっと会社にいたのと同額の給料が貰える」という仕組みを作るための制度だ。

この「高度プロフェッショナル制度」について、Twitterを見ていると、高度プロフェッショナル制度に反対している弁護士というのが何人かいる。

クローズアップ現代+』では、識者をゲストに招いて解説していたのだが、その識者の中に上記の「高度プロフェッショナル制度に反対している弁護士」が居たそうだ。

この弁護士は、「高度プロフェッショナル制度とは、経営者が労働者の残業代を支払わずに労働者を24時間働かせるための制度を国が作ろうとしている」という風に説明していた。

 

しかし、国が作ろうとしているのはそんな制度ではない。

高度プロフェッショナル制度は、専門的な業種に就いていて、その人物の年収が1075万円を越えている場合にしか適用対象とならない。

年収1075万円と言えば、今の日本ではその時点で相当な勝ち組だ。

そうした勝ち組の人達が、会社での現在の待遇に思う所が有る場合「好待遇の会社に転職する」「現在在籍している会社に交渉して待遇を上げて貰う」の二択が有るが、この内、後者「会社に交渉して待遇を上げて貰う」ための交渉をし易くする仕組みを作るための制度として国は導入しようと考えている事が推察される。

要は、優秀な勝ち組労働者自己ブランド力を強化のための手段を与え、より経済発展を目指すための制度だ。

 

しかし、高度プロフェッショナル制度に反対している弁護士は、その条文の重箱の隅を突き「条文を悪意的に読めば、庶民を24時間働かせて残業代を支払わなくても良い制度に出来るよね」と説明し続けている。

確かにそういう悪意的な読み方も出来なくはないだろう。

だが、実際にそういう使い方をする企業が有れば、今のネット社会、そういう企業は直ぐに炎上する事は容易に予想出来る。

何のことは無い、高度プロフェッショナル制度に反対している弁護士は、「庶民の味方のふりをして国の経済発展の足を引っ張っている」だけでしかない。

 

では、そういう弁護士にとって国の経済発展の足を引っ張る事にはどういう意味が有るのかと言うと…、国の経済が発展しなければ貧困者は増える。貧困者が増えれば、貧困者から搾取する貧困ビジネス、例えば過払い金請求等は安定する。

高度プロフェッショナル制度に反対する弁護士というのは、そうした貧困ビジネスの安定を狙いたい弁護士だ。そういう弁護士ほど、庶民の味方のふりをするから面白い。

 

高度プロフェッショナル制度」は、勝ち組に類する労働者に自己ブランド力を強化してもらう事で経済成長を進めて行こうという制度だという事、その制度を悪意的に捉えて反対するのは負け組に類する労働者の思考である事を良く考えた方が良い。

 

名無しの写真家 拝名無しの写真家 拝