大国の都合で分断させられ、大国の都合で終戦させられ…

朝鮮戦争 南北で休戦状態から終結宣言へ 韓国高官

毎日新聞2018年4月18日 20時37分(最終更新 4月18日 21時31分)

韓国の青瓦台(大統領府)高官は18日、記者団に対し、休戦状態の朝鮮戦争(1950~53年)を終結させて平和体制に転換するため、当事者間で終戦宣言をする方向で検討していることを明らかにした。27日の南北首脳会談で戦争終結に合意した後、米国を加えた3者首脳による終戦宣言や、中国を加えた4者による平和協定締結を模索している模様だ。

トランプ氏が17日の日米首脳会談で朝鮮戦争に言及したことを受け、背景を説明した。戦争終結北朝鮮に提起したか言及を避けながらも米国とは緊密に協議していることを認め、「(南北首脳会談で)『終戦』という表現が入るかは分からないが、南北間の敵対行為禁止に関する合意が含まれるよう期待している」と述べた。

これに関連し、鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台国家安保室長は18日、訪米時の12日にボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談した際に「平和体制構築や北朝鮮の憂慮を解消する方法、米朝首脳会談や米朝韓3カ国首脳会談の可能性についても意見を交換した」と述べ、戦争終結に向けた具体的なプロセスを協議していることを示唆した。

(引用元:毎日新聞

大国の都合で戦争状態にさせられ、大国の都合で休戦状態にさせられ、大国の都合で終戦状態にさせられようとしているという印象。

そもそも朝鮮戦争は何故起こったのか…という話を知らない人が多いだろうからそこから説明した方が良いのだろう。

そもそも、朝鮮戦争が発生した理由は第二次世界大戦…、右翼の言い方で言うならば大東亜戦争にまで遡る

第二次世界大戦前、アジア圏の大半の地域は1800年代から領土を拡大し始めた欧米(ヨーロッパ・アメリカ)諸国に寄って植民地化されている状態だった。

欧米に寄って植民地化されたアジア圏の各地域の欧米からの解放とアジア圏を一つにまとめ、欧米に対抗できる勢力圏を作るというのが日本がアジア圏に侵攻した目的…だと言われている。

その計画の中で日本は朝鮮半島や中国にまで勢力を広げていた。

これを快く思わなかったアメリカとの間で発生した戦争が第二次世界大戦に於ける日米戦争だ。

実際には日本VSアメリカ・イギリス・オランダ・中華民国・オーストラリアの戦争で、表立って戦ったのは日本とアメリカだが、イギリス・オランダ・オーストラリアがアメリカを後方から経済面等で支援していたという形の戦争。

上記の説明の通り、第二次世界大戦前~戦時中、朝鮮半島や中国の一部は日本の領土だった。

第二次世界大戦後、戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦(現:ロシア)、中華民国(現:中華人民共和国は利益の分配で揉めないために…言い方を変えれば戦勝国クラブ」として国際連合を結成した。

故に、この五か国は国際連合に於いて、常任理事国という形で強い権限を保有する形になっている。

この戦勝国クラブは、民主主義・自由主義を掲げるアメリカ、イギリス、フランス共産主義社会主義を掲げるソビエト連邦中華民国の二派に分かれる。

そして、この二派の思想の間には大きな壁が有り、この二派の勢力圏の間には直接衝突を避けるために緩衝材としての国家が置かれる形で第二次世界大戦後の世界の構図は作られていった。

ヨーロッパでは、東欧・北欧地域が緩衝材としての役割となり、アジア圏では朝鮮半島・日本が緩衝材としての役割を戦勝国クラブから与えられた。

その中で二派の折り合いがつかずに二派の取り分の微妙な調整のために行われたのが朝鮮戦争だ。朝鮮半島戦勝国クラブの二派の話し合いの結果中間辺りに国境線が引かれ分断される形となったが、国境線の引かれ方に納得の行かなかった中華人民共和国ソビエト連邦の後押しを受ける形で朝鮮民主主義人民共和国(略称:北朝鮮)が大韓民国(略称:韓国)に侵攻し、朝鮮半島全土が戦場となる1950年から1953年までの3年間に及ぶ戦争となった。

戦争が泥沼化し、このまま続けても決着が付かないと判断した戦勝国クラブの意向で韓国と北朝鮮の間で休戦条約が締結され、元々の国境線が引かれていた位置に軍事境界線という境界線が引かれたのが朝鮮戦争の経緯。

朝鮮戦争の結果、韓国も北朝鮮も「朝鮮半島朝鮮半島で一つの国家である」という事を前提として、北朝鮮側は「朝鮮半島の南側にはアメリカ・イギリス・フランスの都合で暫定的に政府(韓国)が置かれているが、朝鮮半島の本来の政府は北朝鮮である」韓国側は「朝鮮半島の北側にはソビエト連邦中華人民共和国の都合で暫定的に政府(北朝鮮)が置かれているが、朝鮮半島の本来の政府は韓国である」と主張している、一国の中に二つの政府が存在する状態となっている。

朝鮮戦争終結とは、当事者である韓国と北朝鮮だけの一存で宣言出来る物ではない。両国が、両国のバックボーン(後ろ盾)についている大国の都合と顔色を鑑みながら「大国の都合で一国の中に二つの政府が存在する状態と国際的には認識されている朝鮮半島という状態を解決する事が朝鮮戦争終結を意味する。そこに両国の意志は殆ど反映されないと言っても過言ではない。韓国と北朝鮮は、後ろ盾についているアメリカ・フランス・イギリスと中国・ロシアが頭上で行った交渉の結果を受けて、その結果を韓国と北朝鮮の名前を以って発表する事しか出来ないのが実情だ。

 

終結の方法も大きく分ければ

  1. 朝鮮半島北緯38度線を国境線として大韓民国朝鮮民主主義人民共和国の二国を置く事を国際的に承認する。
  2. 朝鮮半島を一つの国家として認定し大韓民国政府か朝鮮民主主義人民共和国政府又は、そのどちらでもない統一政府を置く形を国際的に承認する。
  3. 朝鮮半島にアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の共同統治に寄る暫定政府を置く。

の三つぐらいだろう。

細かく考えるなら3の亜種的な終結方法として、「大韓民国(韓国)は現状を維持し、朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)部分だけを国家解体してアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の共同統治に寄る暫定政府を北朝鮮部分に置く」等も有るかも知れないが。

 

まさに、「大国の都合で分断させられ、大国の都合で終戦させられる」…、「世界は大国の都合で動いている」…という事を感じさせられるニュースだと思った。

そして、世界を動かしている大国から見れば、この交渉に韓国と北朝鮮の隣国であるのに参加させて貰えなかった日本は弱小国でしかないのだろう。

 

名無しの写真家 拝名無しの写真家 拝