無知な都知事と、まともな事を言ってるのに叩かれる元総理

この二つの記事をご覧頂きたい。

どちらの記事もTwitterでは結構叩かれているのだが…、結論から言えば、無知な発言で叩かれる都知事と、まともな事を言っているのに記事の題名が与える印象が良くないため叩かれる元総理という話になる。

それがどちらも『日刊スポーツ』の記事なのが面白い。

小池都知事、東京五輪へ向け「打ち水」協力呼び掛け

2018年7月24日7時32分

小池百合子都知事は23日、東京・日比谷ミッドタウンで行われた打ち水イベントに参加し、20年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに向けた暑さ対策の一環として、江戸由来の「打ち水作戦」を活用する意向を示した。

今日24日で五輪まで2年。「言うまいと思うが、暑い。これが毎日続くと『異常気象』とはいえなくなり、大会の暑さ対策は大きな課題だ」と述べた。「風呂の残り湯などを使って朝夕にまく打ち水は、江戸の知恵で、おもてなしでもある。隣近所で、同じような時間にやることで涼を確保する。この作戦も、東京大会で威力を発揮するのではないか」と述べた。バケツとひしゃくで、再生水を利用した水をまいた小池氏は、「体感温度がかなり下がった。打ち水はどこでもできる。体感してほしい」と、来場者に協力を呼び掛けた。

イベント前の同所の路面温度は39・2度だったが、打ち水を行った後は35度で、4・2度下がった。

(引用元:日刊スポーツ

先ず、こちらが一つ目の記事。 

こちらの記事が叩かれる理由は、一言でいえば小池百合子東京都知事が無知だからの一言に尽きる。

先ず

  • データとして出ている話だが江戸時代の夏と、2018年現在の夏では平均気温が10℃近く違う(現代の方が10℃近く高い)

次に、打ち水が日本古来の風習という点は間違いない

  • 打ち水という風習自体は安土桃山時代から存在し、江戸由来の風習かというと微妙な所である。
  • 江戸時代に庶民の家に風呂は無く、打ち水に使う水は風呂の残り湯等ではなく打ち水に使うために井戸から汲んできていた
  • 打ち水は暑さ対策のために行われた訳ではない。当時の日本の道路は現代の様にアスファルト等で舗装されておらず、風が吹くと土煙が舞ったので商店の前等で道に水を撒いて土煙を防いだ。
  • 現代では、打ち水は一時的には気温は下がるが、その後アスファルト上に撒かれた水が蒸発する熱で気温が上がるため効果がない。特に、日中の打ち水は効果がないため、古来より気温の低い午前中や夕方に行うのが主とされていた。

等々の指摘箇所がある。

こんな無知な都知事都知事の状態で2020年の東京オリンピックを迎えるかと思うと不安で堪らない。

Twitterで、この記事を読んで小池都知事を批判している人達の気持ちが良く解る。

 

次に、こちらの記事。

こちらの記事も、Twitter上では結構批判されている。しかし、一部この記事に頷いている人達がいる。

これについては、「この記事を読んで批判している人は記事の題名だけを見て記事を読んだ気になっている人」であるのに対して、「この記事に頷いている人は記事の全文を読んでいる人」という点が批判している人と頷いている人のコメントを読んでいると見えてくる。

森喜朗元首相自体は良い事を言っているのだが、この記事の見出しの付け方が良くないせい題名だけを見て読んだ気になる人には良くない印象を植え付けていると言える。

森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪成功のカギに

2018年7月24日9時5分

2020年東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長(81)が23日、都内で単独インタビューに応じた。開幕まで今日24日でちょうど2年となるのを前に、この日、東京では観測史上最高となる気温40・8度を記録。前代未聞の暑さが目の前にある厳しい現状を、チャンスに変えるべきとの考えを示した。これまでも暑さ対策は講じてきたが「想像上ではなく今、現実にある。実際に試すため、生かさない手はない」と机上論ではなく今夏、実証実験を徹底する。

丸2年後、東京オリンピック(五輪)が開幕しているその日に東京で40度を超え、森会長は自問自答した。「この暑さが来たら本当に、まっとうにやっていけるのか」。

全国的に熱中症で救急搬送されるケースが多発し、今夏の酷暑は社会問題となっている。しかし、開催時期は国際オリンピック委員会(IOC)が提示し、東京側も織り込み済みで招致した経緯もあり、日程はずらせない。

現実から目をそらせない状況で「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない」と語った。

暑さ対策としてはこれまで、道路の遮熱性舗装、街頭ミスト、会場の大型冷却器、かち割り氷の配布などが検討されている。昔ながらの「打ち水」なども効果があるとし、東京五輪関連イベントではよく紹介されているが、実際に役に立つか、今夏、実証実験に最大限、利用すべきとの考えだ。

森氏は選手同等にボランティア、競技役員、観衆に心配の目を向けた。「意識、覚悟している」選手とは違い、暑さへの知識が不足している一般客への周知や対策が必要となる。正直に「全て組織委で対策するのは難しい」と語り、「各自治体、各地域もともに考えて連携していかないと」と呼びかけた。

“ピンチはチャンス”という発想で、暑さ対策で日本のイノベーションを世界に発信する機会とも捉えた。直接的な冷却装置以外にも、観客がスムーズに会場入りできるよう、会場ごとに顔認証システムの導入を目指している。それにより荷物検査時間を減らし、待ち時間を「最長20分」との目標を掲げている。

今月18日、IOC理事会で承認された競技日程でも、暑さを考慮し男女マラソンが午前7時、50キロ競歩が同6時スタートと決まった。しかし、森氏は「朝5時という案もあった。極論、東京都心は夜も明るいため、夜のレースという意見もあった」と振り返る。斬新なアイデアは実現はしなかった。五輪の開催計画は各競技連盟や団体の思惑が複雑に交錯する。しかし、この酷暑を目の前に、残り2年、思い切った取り組みも必要かもしれない。

猛暑の危険性ももちろん承知し、人一倍、気を使っている。22日、マスコットの名前発表イベントに参加。会場に到着すると、多くの子どもたちが目に入った。気温は午前11時で約35度。前室で待機中、東京都の小池百合子知事に「今日は暑いから、あいさつは短い方がいい」と話し、実際に本番で簡潔に切り上げた。

IOCも注視している暑さ対策。「部屋の中で暖房をたいて実験をするわけではない。これが自然で起きていて、逆らうわけにはいかない。この暑さでそっくり2年後、東京で(五輪を)やるということを考えなければならない」と、気を引き締めるように言った。

森喜朗(もり・よしろう)1937年(昭12)7月14日、石川県生まれ。高校までラグビー選手。早大卒。産経新聞社、議員秘書を経て69年の衆院選で初当選。死去した小渕元首相の後継として、00~01年に首相。衆院議員を14期務め、12年に国会議員から引退。13年9月の東京五輪パラリンピック開催決定を受け、14年に大会組織委員会会長に就任した。

<現状の主な猛暑対策>

◆クールスポット 路上競技の観戦客が涼める場所として大型商業施設などを「クールスポット」に指定。今夏、試験的に協力先を募集。

◆入場列は直線 会場の入場待ちの列にテントや大型冷風機を設置。列も、熱がこもってしまう従来の「蛇腹」でなく1列に並べ風が当たりやすくする。

◆特別舗装 東京都は路面の温度上昇を8~10度抑える舗装をマラソン競技コースを含め136キロで整備する計画で、既に8割超が完了。

◆競技日程 暑さを考慮し招致段階の計画を変更。スタート時間を前倒しして男女マラソンは午前7時半を7時に、競歩男子50キロは7時半を6時に、トライアスロンは10時が8時に、ゴルフは9時から7時に。スポーツクライミングは突起物が熱くなってつかめない事態を防ぐために午後4時半~10時に行われる。

(引用元:日刊スポーツ

題名だけを読めば「猛暑が五輪成功の鍵になる」とブラック企業の社長か何かみたいな事を言っている印象を受けるが、記事全体を読むとそうではない。

上記の記事は要約すれば

今年、2018年の7月に入ってからの暑さは異常気象と言われており、東京都内でも気温40℃越えを観測している。

2020年の夏にもこの暑さが来ないとは限らない。

2020年のオリンピック開催地が東京に決まってからの数年間、東京都は2020年夏に行うオリンピックに向けて様々な暑さ対策の設備を都内各所に導入してきている。

それらの設備を今年の夏に試験的に運用して、実際に暑さ対策に効果があるかどうかを試すべきではないだろうか?

その上で、暑さ対策に効果のある設備と効果の無い設備を確認し、効果の無い設備は2年以内に別の手段に換えれば良い。

今年の夏の猛暑をただの猛暑と受け止めるのではなく、2020年夏に向けて暑さ対策が本当に効果あるのかを検証するためのチャンスとすべきではないのか? 

という内容になる。

それが、題名のせいで老害の戯言の様に認識されてしまっている辺り…、リテラシーという物は何処にあるんだろうなと少し思ってしまった。

 

都知事は無知だと思うが、森喜朗元首相(現・五輪組織委員会会長)は極めてまともな事を言っている。だが、東京五輪憎しな人にはどちらも同じに見えるのだろう。

 

名無しの写真家 拝名無しの写真家 拝